君が笑えば みんなが笑うこれはイギリスの女性作家、ヴァージニア・ウルフ(1882-1941)の言葉だそうで、大原先生は生前、よくこの言葉を色紙や本に書いてあげては周囲に喜ばれていたとのこと。
(2004.2.29 日経新聞「ちょっと気ままに」 大原健士郎)
ウルフといえば、“意識の流れ”(…人間の心の中に絶え間なく移ろう意識をそのまま語っていく…)という小説技法で知られていますが、文学好きの私でもまだちゃんと読んだことはありません…(^_^;)
繊細ゆえに最後には精神を病んで入水自殺をしてしまいます。
そんなウルフがこんな素敵な言葉を残していたなんて!
今回、このブログを書くにあたって色々調べてみたのですが、ウルフのどの本にこの言葉が載っているのか、まったくヒットしませんでした。
(もしご存知の方がいらっしゃったら教えて下さいね)
さらに、大原先生はこう言います。
人間は誰しも怒りたいとき、泣きたいときがある。
わめいたりすれば悩みが解決するんだったら、大いに泣きわめくことも結構だと思う。
しかし、多くの場合、解決にはならない。
…笑っていても泣いていても状況が変わらないとすれば笑っていた方が得である。
なぜなら相手を幸せにできるからである。
「君が笑えばみんなが笑う」ことを知れば、周囲の人たちにとって自分が、いかに重要な存在であるかが自覚できるはずである。そういえば、大原先生が「君が笑えば みんなが笑う」という言葉を載せた本のタイトルは、『日本の自殺-孤独と不安の解明』 (誠信書房、1965年)。
そしてその人たちのためにも努力して笑うべきである。
自殺研究の第一人者だった大原先生は、ウルフの気持ちを痛いほど理解されていたのかもしれません。
そして、人はどうやって死んだかではなく、どんなことを感じて生きたかがより大切なのかもしれないと思いました。
ウルフの『ダロウェイ夫人』(1925)にはこんな夫人の言葉があります。
一日の終わりには次の一日が続いてゆく。水曜、木曜、金曜……私も笑顔でこれからの一瞬一瞬を生きていきたい!
朝になって目が覚め、空を見、公園を歩き……それからあのバラの花……
どれほど私がこういったもののいっさいを愛しているか……
どんなに一瞬一瞬を愛しているか……
そう思いました。
(※日経新聞「ちょっと気ままに」 の上記コラム「君が笑えばみんなが笑う」はこちら(↓)の本にも掲載されてます)
☆大原健士郎 『こころの休憩室―老精神科医のほっとするアドバイス』(亜紀書房、2004年)