智恵子は東京に空が無いといふ、
ほんとの空が見たいといふ。
私は驚いて空を見る。
桜若葉の間に在るのは、
切つても切れない
むかしなじみのきれいな空だ。
どんよりけむる地平のぼかしは
うすもも色の朝のしめりだ。
智恵子は遠くを見ながら言ふ。
阿多多羅山(あたたらやま)の上に
毎日出てゐる青い空が
智恵子のほんとの空だといふ。
あどけない話である。
『智恵子抄』(昭和3年5月)より
* * * * * * *
昔、学校の教科書に載っていた詩✎
その頃はピンと来なくてすっかり忘れていました。
11年前に東京に越してきてベランダから空を見上げた途端、
この詩の冒頭が記憶の奥~のほうから蘇ってきました(゜.゜)
ビル群に切り取られた空。。。
「あー、ほんとの空が見たい!」と私の心が叫んだ瞬間だったのかもしれません。
それからというもの、自宅から空を眺める度にこの詩が頭に浮かびます。
悲しいというよりは、素の自分に戻れるような…人間らしい詩。
もし東京に住まなければ、この詩のことなど一生思い出さなかったことでしょう。
…ってことは、この詩が私のことを待っていてくれたのかも?!
高村光太郎&智恵子夫妻が私に何か伝えたかったのかも!?
「ほんとの空」を見る代わり、高村光太郎さんの詩を心に映せるって、もしかしたらもっと素晴らしいことじゃない!? (*^_^*)
そう気付いたら、なんだか急にハッピーな気持ちに…♪
(私って単純…^_^;)
人生って、自分の思い望むものが目の前に現れない時もあります。
でもその代わり、私達は何か別の素晴らしいものを自分でも知らず知らずのうちに手にしているハズ☆
だから、「身の回りに起こることに良い・悪いはない。全ては必要だったこと。計画通り!」
・・・と言われるのですね。
もう一度空を見てみました。
空がこんなことを言っている気がしました。
「空は空という大きなキャンバスにいつも自由に絵を描いているんだ。ビルはその絵の額縁だよ」なるほど、そうだったのか~!!!
このことに気付くまで11年。。。
人生は簡単には答えを出してくれません(>_<)
なぜなら考えなくなるから・・・(by 曽野綾子さん)
東京の空も自分の気持ち次第では「ほんとの空」になるようです(#^.^#)
これから夏本番! みなさま、楽しい夏休みをお過ごしください♪