2017年8月30日水曜日

ほどほど ~篠田桃紅さんの言葉 Ⅳ~

篠田桃紅(しのだとうこう)さんの『103歳になってわかったこと』より、最終回のPart 4♪

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自分の心が、ほどほどを決める
…私も長く生きてきて、いろんな人に出会い、いろんな人の人生を見たり聞いたりしてきましたが、どういう人の人生がいちばん幸福だったのか、いくら考えてもわかりません。 
たとえば、あの人は素敵な人だったと思うけれども、その人の妻はどうだったかというと、苦労させられたのかもしれないと思いますし、この人は立派で尊敬できる人だったけれど、その人の子どもはどうだったかというと、親と比較されて悩んだ様子でしたし、いいことずくめの人は見つかりません。 
一つ得れば、一つ失うことは覚悟しなさい、ということなのでしょうか。
なにもかもが満足な人生はありえないようです。 
一方で、豊かになれば人は幸せになれると、人類共通して思ってきましたが、それもまた違ったようです。
私もずいぶん裕福な人を見てきましたが、裕福だから幸福だとは思えませんでした。
かといって、極度な貧乏もまた不幸です。 
それなら、一体どうしたら、人にとって一番幸福なのかと考えると、わけがわからなくなります。
どのように生きたら幸福なのか、「黄金の法則」はないのでしょうか。 
自分の心が決める以外に、方法はないと思います。
この程度で私はちょうどいい、と自分の心が思えることが一番いいと思います。
ちょうどいいと思える程度は、百人いたら百人違います。 
私はまだ足りないと思う人は、いくらあっても足りません。
そういう人はいくら富を手にしても、お金持ちになった甲斐はありません。
愛情を充分に与えられても、愛されていると自覚しません。
まだまだ足りないと思っているのですから。 
これくらいが自分の人生にちょうどよかったかもしれないと、満足することのできる人が、幸せになれるのだろうと思います。 
~篠田桃紅『103歳になってわかったこと』 ~

写真:篠田さんのアトリエ
2016.1.9「SWITCHインタビュー達人達 日野原重明×篠田桃紅」より
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上を見ればキリがなく、あれもこれも…とつい欲張りになってしまいます。
すると、なんだか心も体も疲れてしまう。

きっと、それは自分が本当に欲しているというより、「周りからこう見られたい…という他者目線」や「いつか何かの役に立つのでは…という未来目線」で物事を選んでいるのかもしれません。

もちろん、夢を描いたり、ワクワクすることは大事。
でも同時に、足るを知り、今、自分が心から本当にやりたいこと・欲しいものだけを選ぶようにすれば、人生はもっとシンプルで幸福感溢れるものになるのかもしれない…と感じました(^o^)

2017年8月27日日曜日

無駄の中の兆し ~篠田桃紅さんの言葉 Ⅲ~

篠田桃紅(しのだとうこう)さんの『103歳になってわかったこと』より。Part 3です♪

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1+1が10になる生き方 
人は、用だけを済ませて生きていると、真実を見落としてしまいます。… 
無駄にこそ、次のなにかが兆しています。
用を足しているときは、目的を遂行することに気をとらわれていますから、兆しには気がつかないものです。 
無駄はとても大事です。無駄が多くならなければ、だめです。 
お金にしても、要るものだけを買っているのでは、お金は生きてきません。
安いから買っておこうというのとも違います。 
無駄遣いというのは、値段が高い安いということではなく、なんとなく買ってしまう行為です。
なんでこんなものを買ってしまったのだろうと、ふと、あとで思ってしまうことです。 …
しかし、無駄はあとで生きてくることがあります。…
時間でもお金でも、用だけをきっちり済ませる人生は、1+1=2の人生です。
無駄のある人生は、1+1を10にも20にもすることができます。 
私の日々も、無駄の中にうずもれているようなものです。
毎日、毎日、紙を無駄にして描いています。時間も無駄にしています。 
しかし、それは無駄だったのではないかもしれません。
最初から完成形の絵なんて描けませんから、どの時間が無駄で、どの時間が無駄ではなかったのか、分けることはできません。
なにも意識せず無為にしていた時間が、生きているのかもしれません。 …
無駄はよくなる必然だと思っています。
~篠田桃紅『103歳になってわかったこと』 ~


写真上:ホテルのロビーに飾られている篠田さんの作品「人よ」
写真下:「人よ」制作中の篠田さん(当時92歳)

2016.1.9「SWITCHインタビュー達人達 日野原重明×篠田桃紅」より 
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何かに失敗して落ち込んでいる人。
今までやってきたことに意味はあるのか?…と考えてしまう人。
今、自分がやっていることは無駄なのでは?…と感じている人。
などなど・・・・・・

篠田さんからすべての人へのメッセージ♡

やっぱり無駄なことなんて1つもない!!!

2017年8月20日日曜日

人とは ~篠田桃紅さんの言葉 Ⅱ~

篠田桃紅(しのだとうこう)さんの本、『103歳になってわかったこと』より。
共感した言葉Part 2です♪

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先日、私の若い友人が、かつて、二人の同級生を自殺で失ったことを、打ち明けてきました。… 
若い友人は、同級生がなぜ自殺しなくてはならなかったのか、自分になにかできたのではないかと、積年、そのことが心の底にある様子でした。 
私は、納得しようとするのは、あなたの思い上がりです、と言いました。
人というものは、納得できないことのほうが多い。
自分たちの知恵では、わからないことのほうがずっと多い、と長く生きてきた年の功で教えました。
ですから、なぜ自殺したのか誰にもわからない、と。
人というのは不思議な生き物、かんたんに割り切れるものではないと私は思っています。
とても偉いものでもないし、そう愚かなものでもないとは思いますが、不思議な生き物です。 
人というものが、どういうものであるか、わからないから、文学、芸術、哲学、さまざまな活動をして、人は模索しているのです。 
なんでこんなことをやるのだろう、ということを一生懸命にやっているのです。… 
人はみな、なにかにすがっていたい、どこかによりかかるものがほしい。
その一役を買ってくれるのが、なにかに夢中になることだと思います。 
そして、芸術、スポーツ、宗教など、さまざまなものを生み出しているのだと思います。
~篠田桃紅『103歳になってわかったこと』 ~

写真:2016.1.9「SWITCHインタビュー達人達 日野原重明×篠田桃紅」より 

2017年8月19日土曜日

時間からの解放 ~篠田桃紅さんの言葉 Ⅰ~

美術家、篠田桃紅(しのだとうこう)さんの本、『103歳になってわかったこと』を読みました。

篠田さんの既成概念に捉われない、枠に収まらない生き方は、読んでいて心地よく、共感できる言葉がたくさんありました!

何回かに分けて、ご紹介したいと思います♪


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規則正しい毎日から自分を解放する 
私は、これまでスケジュールもなく生きてきました。
一切、スケジュールを立てません。
予定とか目標とかいうものを、あまり好まないからです。
自然のなりゆきにまかせて、生きています。… 
自分に規律というものは課さないし、外からも課せられないようにしてきました。
縛られたくないから目標も立てません。 
なにか目標を決めると、それに向かってやみくもに一生懸命になってしまいます。
そうすると、ほかが見えなくなります。 
私は、ほかにすごくいいものがあっても、目標のために、見逃してしまうことがいやなのです。 
人生は、道ばたで休みたいと思えば、休めばいいし、わき見をしたければわき見すればいいと思っています。 
今日中にあそこまで行かなければならないと決めるやりかたより、自然のなりゆきに身をまかせるほうが、無理がありません。
そのほうが私の性に合っています。 
規則正しい毎日がいい、とされていますが、なにをもって正しいのでしょう。
毎朝、決まった時間に起きて、食事をするのが規則正しいのか。
私は、一般的に規則正しい、とされていることからは、はずれた毎日を送っています。 
私の仕事は、絵を描くことですが、何時から何時まで描く、と決められません。
描いているうちに、夜が明けてしまうこともあります。
毎日、自分勝手な生き方をしています。 
規則正しい生活が性に合う人もいるでしょう。
計画を立てないとならない事情も、ときにはあるでしょう。 
しかし、あまりがんじがらめになると、なにかを見過ごしたり、見失っていても、そのことに気がつきません。
~篠田桃紅『103歳になってわかったこと』 より~
*  *  *  *  *

そもそも、時間や時計は人間が作り出したものです。
大昔、人はもっと自然や自分の感覚に頼って生きていたのではないでしょうか。
だから、私たちの中に流れている時間の感覚というのは、今でも人によって違うような気がします。

私も小さい頃は、何をするにものろい…と言われた子どもでした。
銀行で働いていた頃は、「何時までにこれ、何時までにあれ…」と時間に急きたてられ、他の同僚たちのようにサクサク仕事をこなせず、毎日のように残業していました。

それは今なお変わらず、のんびりペース…
長年ずっと、周りの時間の流れの速さが、自分とは合わないような気がしてなりませんでした。

これを読んで、何か胸にストンと落ちた感じ。
こうでなければならない…という枠組から、また1つ解放された気がします(^_^)/