2015年3月7日土曜日

とことん休む

前回に引き続き、雑誌「暮らしの手帖」編集長である松浦弥太郎さんのエッセイ<Part 2>です。 

前回のブログを読んで下さった方が、早速松浦さんの本を図書館で予約してみたそうで(^^♪
予約待ちで時間がかかりそうだったため、初めて「暮らしの手帖」を買ってみたところ、

「日常のひとコマを大切にするような感じで、読んでいて心地よかった…」

という感想を頂きました~(*^_^*) 嬉しい♡
まさに、この本もそんな内容です♫


落ち込んだとき、僕はとことん落ち込みます。
どん底まで落ちていく気持ちで、一人で引きこもったりします。
外からのあれこれを遮断し、「逃げ場所」に非難の旅をすることすらあります。

泣きたくなることは、たくさんあります。死にたくなることも、たくさんあります。
大人で、父親で、仕事人であっても、それが僕という人間であるし、ほとんどの人はそうでしょう。
だったら、誤魔化すことなんてないのです。

心がふさぎこんでしまったら、自分を休ませてあげましょう。
一週間かもしれないし、十日かもしれない。
重病になったと見なし、自分で自分に正々堂々と休暇を与えるのです。
生きていく最少単位は「自分」なのですから、それを優先して大切にすることは、わがままでも身勝手なふるまいでもありません。

心の病気には薬がありますし、まわりのみんなも気遣ってくれることでしょう。
しかし最後に助けてくれるのは、ほかならぬ自分です。
奈落の底まで落ちてしまったとき、自分以外、手を差し伸べられる存在はないのです。

落ち込んだら、お酒を飲んだり遊びに行ったりして、紛らわしてはいけません。
悲しいとき、涙をこらえてにこにこ笑っていてはいけません。
大人だからってクールな顔で、なんでも我慢してはいけません。

嘆きましょう。悲しみましょう。声をあげて、わんわん泣きましょう。
体がおかしなとき、嘔吐をこらえてもしかたがないのと同じように、たまってしまった苦しみは、思い切って吐き出すのです。

そして涙が枯れる頃、いちばん恐ろしいもの――自分が抱えている闇そのもの――と向き合えば、いつか必ず乗り越えられます。
乗り越えたあとは、不思議と強くなっているものです。

何かいやなことがあって乗り越えられない友だちがいれば、僕はこう言います。
「泣き足りてないんだよ。どこかで我慢しているんじゃない?」
さて、あなたは、最近、ちゃんと泣きました?

○落ち込んだときに逃げ込む場所を確保しておきましょう。一冊の本でも、近くの公園でもいいのです。
○自分を見つめるのはこわいことですが、勇気を出す価値はおおいにあります。

~松浦弥太郎 『暮らしのなかの工夫と発見ノート 今日もていねいに。』 (2008年)~